昨今、話題のAIやメディアの語り口を含め、共有のことばですべてを解決できる。
しなければならないと、思いこまされるような圧を感じる。 小説、音楽、乗馬。
ことばが通じないことを乗りこえ、あるいは、ことばが通じないからこそ。
なにかをわかちあえた瞬間、喜びが倍加する。
外国旅行もそう。そっと残しておく贈り物もそう。

みな共有の日本語をしゃべっているようで、実のところ、それぞれのことばしか使っていない。
ことば以前のもやもやの色、かたちは、ひとりひとり、誇らしくもちがう。

ことばは、こころの「乗りもの」であり、いのちのはらむ「動物」でもある。
万が一、相手に伝わってくれたら、細心に、呼吸を合わせ、自分だけの手綱を取る。

遠い手紙が届く。無言の微笑みが輝く。ことば以前のもやもやが、胸にしみとおる。
ぼくたちは、いきいきと命が弾む世界に取りまかれている。
ことばが通じあわない相手への敬意を、ふだんから忘れずにいる限り。
(  日経文化  小説は馬のように より  )

  

      生活雑感  July ㉒

   夏休みが、始まったばかりなのに、福岡県では、小6生の3人が、水の事故で、亡くなりました。
「魔がさした」というか、「危ない」とわかっていても、川遊びをしてしまう。
なんとも、やりきれないですね。お悔やみ申し上げます。

    今日もよい一日でありますように