イタリアの作曲家、ケルビーニの作品は残念ながら現在、あまり演奏されてウイない。
だが、ベートーベンがとても尊敬し、作品の構造を勉強していた重要な作曲家である。
その名前を冠したオーケストラは18歳から30歳までの優秀な若者で編成されている。

  団員はEU加盟国の国籍を持ち、音楽院、音楽大学を卒業したことが条件で。
オーディションによって選ばれる。在籍期間は3年だ。
多くがプロのオーケストラの奏者として巣立っていく。こうして団員後退が続く。

  すでにケルビーニを卒業した700人以上の若者が世界のオーケストラで活躍している。
私は音楽的な指導はもちろんだが、彼らに「倫理観」を身に着けてもらうことも重視している。
音楽に対する責務は偉大なオーケストラでもまだ若い奏者の集団でも同じだからだ。

  教育というのは一方通行ではない。私は教えることで多くを学ぶことが出来た。
彼らはまだ経験が少ない分、さまざまな音楽解釈が可能でなのである。
一緒に音楽づくりをしていると、こちらにも思わぬひらめきが訪れる。
(  日経  私の履歴書 より  リッカルド・ムーティ )