完投もみえた八回2死一塁、右脚ふくらはぎに違和感を覚えて降板。
「後は任せた」とバトンを受けた左腕の末吉は九回、自らの一塁悪送球で1死一、三塁を背負った。

 次打者に打たせたゴロも痛烈だったが、遊撃手真喜志がしっかりさばいて併殺を完成させ、ゲームセット。
エースを救った先輩たちの好守に、比嘉監督は「最後にやりたい野球ができた」とうなずいた。

   戦後80年の節目に、激戦地・沖縄の代表として2校目の全国制覇。
「平和があって生徒が野球をできることに感謝する」とかみしめる比嘉監督は。

   地元に帰れば大歓待を受けるであろう教え子たちに「勘違いしないように」とも戒める。
計6試合を9失点で乗り切った末吉、新垣有の二枚看板に浮ついた様子はない。

   末吉は「慢心するのではなく、これからは自分たちがチームを引っ張りたい」。
ライバルとの切磋琢磨(せっさたくま)を続け、来年もこの舞台に戻ってくるつもりだ。

          ( 日経  スポーツ   より  「沖縄尚学 守り抜き戴冠」 )