黒柳徹子さんの手を取って「愛してる」とささやく。
アラン・ドロンさんが60年前、来日時に出演したバラエティー番組のワンシーンだ。

  決して気を抜かない。見知らぬ共演者を下に見ることもない。
世界のスターなのにと「胸を打たれた」。黒柳さんは振り返っている。

  とにかく若く、新鮮で、刺激的で現代的だった。
デビューの衝撃がそう語られたドロンさんである。

  海と空の青を背景に、スクリーンのど真ん中から、長いまつ毛の瞳がこちらを射すくめる。
「フランスのモニュメントだった」。マクロン大統領の言葉が胸に落ちる。

 

     (  日経 春秋 より  )