ハンセン病患者のための郵便局は彼の祖父が立ち上げ、親子3代で局長を務めた。
本人の意思にかかわりなく隔離され、差別の傷痕がいまだに残る。

   手紙の代筆をしたり、部屋まで負ぶって連れ帰ったりもしたと聞く。
合併症で出血する患者がいても、真摯に向き合う人たちの姿が目に浮かぶ。

   私にとっては特殊な環境に見えても、彼にとっては生まれ育った地域で。
子供の頃から遊びに行った祖父や父の職場。当たり前の使命だと、とらえていたのだと思う。

   政治家になった今、彼に教えられたことが仕事に向き合う軸になっている。
地域によって課題はさまざまで、それを吸い上げて政策に生かす。

   まず地域があることを忘れずに取り組んでいきたい。

       (  日経  交遊抄 より  )