何よりも大きな変化は、メディア環境だろう。
携帯電話が普及し、2000年以降には、スマートフォンが登場、さらにSNSが当たり前になり。

  写真や動画を撮影することが高校生の日常になった。
そんな中、果たして自分が高校生を撮影することにどれほどの意味があるのか考えたこともある。

  そんな時、応募動機の中にはっとした言葉があった。
「SNSのいいね!のためじゃなく、私だけの、私のためのポートレートが欲しい」。

  今の写真を取り巻く状況を端的に表しているように思え。
同時に写真家としての自分を肯定してもらったような気がした。

  現在の高校生たちは撮ることにも撮られることにも慣れ、半ば「映え」を強いられている。
加工も当たり前で、修製されていない写真は初めてという子さえいた。

  ずっとよそ行きの顔をしている高校生は、今、切実に「自分だけの写真」を求めているのかもしれない。

      (  日経  文化 より 「被写体は高校生 時代の鑑」  )