かつては黒人という人種が差別の対象だったが。
今や人種だけで人が差別されるわけではないとムベンバは指摘する。

   たとえばゲノム情報に基づく出生前診断なども尾の血の選別につながるだろう。
テクノロジーの進歩が新たな差別を生み出す可能性も否定できない。

   「変革の論理は、暴力の矢面に立たされた側から生まれる。
差別の経験は、差別する側をもひどく損なうという気付きが、アフリカ哲学の深みを生んだ」と。

    訳者の宇野邦一・立教大学名誉教授(現代思想)は語る。

 

       ( 日経 文化 より 「黒人の苦難、追体験する世界」 )