吉野弘さんの代表作のひとつに「祝婚歌」がある。しばしば結婚式の祝辞で引用される。
「二人が睦まじくいるためには」と書き出した後「愚かであるほうがいい」。

   「完璧をめざさないほうがいい」「正しいことを言う時は少しひかえめにするほうがいい」と続く。
夫婦が幸せに寄り添うための、互いのありようを詠んだ。

   我を通さず、相手を尊重する。足りないところを補い合い、自然体で過ごすことが肝要である。
その通りに出来なかった反省を含め、うなずかれる方は多いかもしれない。

   国と国の関係だって似たようなものじゃないか。こう考えるのはやや飛躍が過ぎるだろうか。

       (  日経  春秋 より  )