新聞人としては異形であろう。
「俺に衆院議長のポストを取ってきてくれ」。

   政治記者時代、昵懇(じっこん)の政治家からそんなことまで頼まれたというから驚きだ。
大きな新聞を自らの路線に染めつつ、同時に政界のプレーヤーを演じる。

   比類なき腕力は、賛否の嵐とともに常に日本中の耳目を集めた。
戦後をさらに後景へ退かせる、その訃報である。

   時あたかもSNS全盛だ。
社会が姿を変えていく時代にあって、氏は哲学的思考の大切さを説き続けてきた。

   改めて足跡に学ぶところは少なくない。
生まれ変われたら?晩年問われると「それはもう、当然新聞記者ですよ」。

       ( 日経  春秋 より  )