農林水産省の職員を続けながら、2004年に中央大学大学院の総合政策研究科博士課程に通った。
そこで出会ったのが、今は淑徳大学地域創生学部教授の矢尾板俊平さんだ。

   当時、私は人口減少社会の農地制度を、彼は知的財産に関わる制度設計を学んでいた。
「大きなことを成し遂げるには小さな信頼の積み重ねが大事だ」と話す彼は。

   自ら進んで研究室の書類を整理するなど細かいところまで気が利いていた。
毎週土曜日のゼミの後は学食で、そばやカレーを一緒に食べるのが恒例だった。

   ゼミの発表の方法を2人で練った日もあった。
愛されキャラの彼からは卒業後も、企業の社長や地方自治体の関係者らを紹介してもらった。

   気づけば、私は実務の観点から日本で開発された農作物の品種管理に。
彼は学問の立場から人口減少下での地方創生に携わっていた。

   助言をもらうこともあり、地方活性化に熱心に取り組む彼の姿にいつも刺激を受けている。

 

( 日経 交遊抄 より  杉中 淳  農林水産省経営局長 )