「皆さんはコミュニケーションの能力を高めるために来たのでしょう」。
デール・カーネギースクールのベテラン講師のピーターさんが10人の受講生を前に話し始めた。

  「リーダーとして自分の思いを伝えたいなら、まずは心を開いて相手の話を聞くことが肝心です」と。
意外な説明だった。

   それに続きいて、自身がない、恥ずかしいと思ってしまうことを取っ払う実地訓練をした。
 「みんなの前で、床に転がり『死にたくない』と大きな声で叫びなさい」。

やってみると皆が大笑いし、「何も恥ずかしいものはない」とい思えるようになるから面白い。
話す相手のニーズを事前に調べる重要性。結論を先に説明する組み立て方。

「質問の力」を活用して相手に話させる訓練などで鍛えられた。
3ヵ月のコース終了の日、全員が今後の抱負を語るスピーチの機会を与えられた。

みんなとてもうまく、大いに上達していた。
ところがピーターさんは、「リーダーとして一番重要なことはスキルやメソッドではない。

人がついてくるかどうか、それはあなた自身が情熱的に生きいるかどうかで決まる」と。
最後に大きな声で「私は人生を情熱を持って生きていく」と宣言して卒業式を終えた。

このおかげもありコロンビア大での講義に前向きに参画でき、さらに身が入った。

       (  日経  私の履歴書 より  魚谷 雅彦  資生堂前会長CEO  )