坂倉将吾や秋山翔吾を故障で欠きながら、広島が踏ん張っている。
開幕前の順位予想で2位にした私は驚かないが。

     先発の九里亜蓮もオリックスに移籍し、不安視するお声は多かった。
選手が落ち着いて自分の役目に徹している。

   非常事態でも、新井貴浩監督がいつも同じ微笑を浮かべているのがいいのだろう。
投手が抑えて戻っても、大げさにねぎらう様子もなければ、打たれて渋い顔もしない。

   私とキャンプで雑談するときと同じ顔だ。
人はいろいろな顔を持つもので、新井監督のように1つの顔だけ、みたいな人はいない。

   よほど腹がすわっているのだ。ドラフト6位からのし上がった根性。
そこにもう一段の強さを加えたのが、昨季の経験だろう。

 9月あたままで首位だったのが、最後は4位。巨人との首位攻防戦で、栗林良吏が打たれたのが痛かった。
絶対の守護神も、打たれる時は打たれる。新井監督は逆に腹を固めたのではないか。

   今季も新人の岡本駿らを大胆に起用している。
監督が、どうせなるようにしかならない、という顔でいるから、選手も思い切っていける。

       ( 日経  悠々球論 より  「選手支える監督の『顔』」 )