私たちが思い出す記憶は、そのときの感情の影響を受けやすい。
悩んでいるときには、良くない出来事を思い出す傾向が強くなる。

   自分には良くないことばかり起きていたように思えてくる。
良くない出来事が起きたのは自分の責任だと考えて自分を責めるようになる。

   そう考えていると自分の力を信用することができなくなって、気分が落ち込みがちになってくる。
そうしたことを避けるためには良い出来事に意識的に目を向けるようにした方がよい。

   良い出来事が起きるのは偶然ではない。
自分なりにいろいろと工夫したり努力をしたから良いことが起きたのだ。

   そのように話すと、そんなに工夫したり努力したという意識がないと言われることもある。
そのような人には、意識しないでそうしたことができているのは素晴らしいことだと伝えるようにしている。

   意識しないで自然に工夫できる力を持っていると考えられるからだ。
そうしたときでも、ちょっと立ち止まって、自分の考え方や行動の何が良かったのかを確認できるとよい。

   そして、そこで気づいた工夫を書き出しておくと、次に同じような問題に出会ったときに。
参考にすることができる。

 

       ( 日経  こころの健康学 より  )