NHKドラマ「虎に翼」で先日、総力戦研究所の話題が出ていた。
太平洋戦争直前、各界の優秀な若手を集めて組織された首相直轄の研究機関である。

   英才たちがはじき出した対米戦のシュミレーションの結果は「日本必敗」。
長期戦に耐えうる資源を欠くのは明らかだった。だが政府は黙殺し、この国は坂を転げ落ちた。

   企画展の床には尾翼が原寸大にで描かれている。
原爆を含め大戦末期だけで数十万人の命を奪った巨体を思い知る。

   不都合な真実から、指導者はしばしば目を背ける。
新聞が追従した歴史とともに苦く残る教訓であろう。

    (  日経  春秋 より )