自分としては絶好調でも試合に勝つとは限らない。
自己診断ではイマイチという状態のときに監督からは称賛されることも。

   成果・結果なるものは不確実で、だからこそ、よりどころにするなら。
決まった習慣、ルーティンだと思っている。

   鈴鹿で試合の前日、僕がなじんでいる調整メニューを仲間とともにこなして臨んだ。
同僚は体が軽かったらしく「今週もやりたい」と言う。

   それもいいけれど、と僕は助言した。
「先週うまく言ったから次も、ではなく、自分のルーティンを確立した方がいいぞ」。

   同じ状況や環境が毎回訪れるかは分からない。
調整する時刻、移動の有無、思ったよりも厚い、涼しい。

   微細な条件の変化に左右されないルーティンを、自分の中で作っておく。
選手が90分間の試合でボールに触れられる時間は、たかだか計2分間。

   だとしても、2分を輝かせるルーティンを自分なりに探していく。
40年やってきて、どんなやり方がベストなのかの答えは出せない。

   成功したからOK、失敗なので間違いというものでもない。
正解が1つでないはない世界で、目標や問いにどう臨んだかというプロセスに僕らは注力する。

   常日ごろの行動や準備をそれに費やせてこそ、プロじゃないかな。

       (  日経  サッカー人として より   )