高野連の23年度調査では、平日の練習時間が3時間未満の高校が7割弱に上り。
08年度の4割強から増えた。

   長時間練習を見直すチームが出て来た理由を、筑波大の川村卓教授(コーチング学)は。
「休息によるリカバリーがパフォーマンスの向上や故障の予防につながるという認識が浸透してきた」とみる。

   監督が選手を駒のように扱う「右向け右、左向け左」の指導も変わりつつある。
今夏の青森大会決勝ではノーサイン野球で知られる弘前学院聖愛が、1-3の九回の一挙5得点で。

   八戸学院光星に逆転勝ちし、甲子園の切符をつかみ取った。
原田一範監督が10年ほど前、企業経営者から「これからの世の中は(サイン通りにしか動けない)。

   野球型の人間は通用しない」と聞いたのがノーサインを始めたきっかけだ。
教え子が身につけるのは自立心だけではない。

   「自分で選択したプレーでミスすると、そのプレーを自主的に練習するようになる」と原田監督。
練習意欲を高める効用もあったのは発見だった。

   原田監督の出番は試合後のミーティングだ。
なぜあの場面でそのプレーを選択したのかを問う。

   根拠を言語化させることで、教え子の思考力をさらに磨き上げる。
常に考えさせる環境を作ることが新時代の指導者の役割なのかもしれない。

       (  日経  高校野球・新時代へ より  変わる監督の存在意義 )