実体験を語れる人は減り続ける。
被爆者健康手帳を持つ平均年齢は85歳に達した。
次世代、次々世代が継承の主軸を担う時代はもう遠くない。
写真や体験談を先端技術で結ぶ「AI(人工知能)語り部」といった試みも進んでいるという。
深堀さんら先達が残してくれた記憶と記録を、いかに生かしていくのかが問われる。

  凄惨な写真と対面するのは苦しい。
ですけど生き残った人間はそれくらいは頑張らんとですねえ。
深堀さんは語った。
その頑張りを私たちも継いでゆくのだ。

  「原爆忌原爆忌ぞと声あぐる人のちからはいづこよりくる」。
長崎の歌人、竹山広は問うた。
力はどこから来る。
三たびの惨禍を許さぬ、揺るがぬ決意からであろう。
    (  日経  春秋より  )