腕時計は立場と心境の変化を映し出す。
これまでは業務上の連絡や通信状況の報告をいつでも把握できるように。

   米アップルの「アップルウォッチ」2台を使い分けていた。
帰宅後に充電済みのものと交換し、就寝中も身に付けていた。

   稲盛和夫氏が「社長が仕事のことを考えない時間があったら会社は後退する」と説いていたため。
自身も常に会社のことが頭にあったという。

   会長となった今は常に会社を気にする環境から解放され、昼間はアナログ時計をつけている。
「社長を退いたら取り換えようと思って頑張ってきた。着信で腕がプルプルしないのが新鮮」。

   4種類を使い分けているが、社長就任時に記念で購入した「タグ・ホイヤー」が今のお気に入りだ。
社長という座を退き、張り詰めた緊張感から少しは解放されたものの。

   会社の意思決定から離れたわけではない。今後はスタートアップの育成に再度注力するという。
そんな半身な心境の表れか、今でも寝る時だけはアップルウォッチをつけている。

       (  日経  My Story より  KDDI 会長 髙橋 誠 )