教育とは考える力を養うこと。では考える力とは何か。
コストや時間をかけず正解にたどり着く力と思いがちだが。

   実は答えのない問題の答えを「考え続ける力」を指すと教師は語る。
安直な善悪二元論、犯人捜し、お仕着せの正解に陥らず、不確実さを受け入れる。

   「ネガティブケーパビリティー」を持て、と説いたのだ。
学校とは違い、外の世界では大半の問題に正解がない。迷い込んで当然だ。

   自信ありげな先輩や上司も内心は同じ。問いが絶えないから飽きることもない。
「誰もきみに未来を贈ることはできない/何故ならきみが未来だから」(谷川俊太郎「未来へ」)。

   答えはのない問いかけに満ちた社会という森へ、ようこそ。

            (  日経 春秋 より  )