この時期になると決まって思い出すのが、大学受験に失敗した体験だ。
私が高校を卒業した頃は、いくつかの国公立の大学を受験することができたが、何年も失敗を重ねた。

   次々失敗すると、次第に気持ちがふさぎ込み、将来が暗い雲に覆われたように思えてくる。
この先何をしても良い方向には進まないだろうと考えて、絶望的な気持ちが強くなる。

   幸いにも最終的に3年目で合格できたが、そこにたどり着くために。
自分がしたことで、良かったと思えることがふたつある。

   ひとつは、気持ちが落ち込んだ時、無理に元気を出そうとしなかったことだ。
失敗は事実だから、無理に元気を出そうとしても出るはずがない。

   落ち込むのは、うまくいかなかったという現実を受け入れ。
時間をかけてながら体勢を立て直すように、というこころのメッセージだ。

   そのメッセージに逆らおうとすると、無駄なエネルギーを使いさらに精神的に疲弊する。
仕方なくだが、暗い気持ちを引き受け長け続けたのがよかった。

   もうひとつは、少しずつだが、できることから動き始めたことだ。
しばらくはぼうぜんとしていたが、暗い気持ちを抱えながら、次に向けての準備を始めた。

   予備校や住む場所を決めながら、行動していった。

 

    ( 日経  こころの健康学 より 「何度も受験に失敗した私」 )