当時は気候変動対策が急務となる中、私のいた気象班はほとんどが各省庁からの出向だった。
どのタイミングで誰に何を伝えるかべきか、決裁文書はどう書くか・・・。

   霞が関のルールを知らない私たちを取りまとめた清水さんの苦労は並大抵のものではなかったと思う。
古典に詳しく言葉遣いは丁寧だが、プロレス好きで酒も豪快に飲む。

   バンカラ晩から風で人間的に深みがあった。
班長だった私はある日、清水さんにこう諭された。

   「『長』という名のつく役職に就いたら仕事をしてはいけない」。
プレーヤーとして自分の仕事に没頭し過ぎると、チームの課題が見えなくなる。

   みんなの状況に目を配れという教えだった。

       (  日経  交遊抄 より  )