現在の保護司は肩書こそ国家公務員だが、その実は民間のボランティアである。
草の根の善意が支える構図は今も変わらないのだ。

  だからなおさら、その担い手に悪意の刃が向く事態に衝撃を受けた。
大津市の保護司、新庄博志さんが殺害された事件である。

  殺人の疑いで逮捕された容疑者は新庄さんの支援を受けていた。
真相は捜査の進展を待つ必要がある。

  肝に銘じたいのは、更生保護の重要性は揺るがないということだ。
真の慈善とは水を飲ませることではない、井戸を掘ることだと明善は説いた。

     (  日経  春秋 より  )