私はこれに先立つ02年4月、夏の次官在任2年を機に勇退したい、と塩川大臣に申し出ていた。
だが、大臣は「もう一年留任してほしい」と譲らない。

  3年の前例はないとお断りしたが、現体制で03年度予算を編成したいと説かれ。
在任を半年延ばして03年1月に退官した。

  財務省の幹部諸兄が慰労会を催してくれた。
私は官僚の心構えとして「志は高く、腰は低く。心は熱く、頭は冷静に」と話した。
ずっと自らの戒めとしてきた言葉だった。。

   (  日経  私の履歴書 より  武藤 敏郎  元財務次官 )