意外な交友と言えばもう一人がアナウンサーの山川静夫さん。
京大の教授に着任してまもないころ、彼が担当していたNHKラジオの「日曜インタビュー」に出演した。

  番組の最後に色紙を渡され、好きな言葉を揮毫してほしいと頼まれた。
「私は何が知りたいのか」と書いた。

  実は昔、師の西塚泰美先生からいただいた言葉である。
科学者たるもの、常に物事の本質とは何かを自問自答しなければならない、と説いたものだ。

  静岡県公立大学法人の理事長時代に、静岡の浅間神社の神主の家に生まれたという山川さんと。
市内の日本料理屋で再開した。

  ラジオ出演から30年近くが経過していたが「私は。何が知りたいのか」という。
言葉がすごく心にの残っていて、忘れなかったと知らされた。

     (  日経 私の履歴書より  本庶 佑  京大がん免疫総合研究センター長  )