24年1月の地裁判決は店長の説明を「信用できない」と切り捨てた。
「目標達成のために商品を購入し、達成を理由に返品した」と認定。

  「競い合いながら店舗の販売レベルを向上させるコンクールの目的に反する」として。
懲戒解雇処分が重すぎるとは言えないと結論付けた。

  敗訴した店長が控訴し、高裁で和解が成立した。
店長は重大な不正行為をしたと認め、会社側も一定の和解金を支払った。

  9件の不正の中には、実際に購入前まで達成率がゼロだった商品もある。
重いプレッシャーから解放されたいとの思いがあったのは事実かもしれない。

  幹部の一人は法廷で打ち明けている。「正直な話、できない店の方が多いとい思ってるんですよ。
目標を達成できていない店の方が」。

  同社派では過去にもコンクール不正で懲戒解雇された従業員がいた。
達成できないだろうと思って作られた目標が人を不正に走らせる・・・。

  あっけらかんとした幹部の言葉の裏に、数字の持つ「魔力」の恐ろしさが見え隠れする。

     (  日経  揺れた天秤・法廷から より 「重圧下の店長『自爆営業』」 )