単身、米国スクリプス研究所に博士客員研究員として派遣された。
1992年11月3日、まだ温かいサンディエゴに降り立つと空港の到着口に彼はいた。

   包容力のある力強い声で呼びかけてきた近藤裕郷さんは後に生涯の「兄貴分」となる。
目標に向けて周りを巻き込むのがうまい。

   様々な国籍の研究員が集まるチームで物怖じせずに意見を言い。
チームをまとめて推進力に変える力がある。

   「面白いと思わないか、やろうよ」。あの声で言われると、その気になるから不思議だ。
当時から常に「学術研究をどうやって患者や国民に資するように実用化するか」が主題にあるり。

    志を同じくする彼とは波長があった。何度もお互いのアパートを訪ねては遅くまで議論した。
今に至るまで生きる肥やしとなっている。


            (  日経 交遊抄 より 上野裕明・日本製薬工業会会長  )