1966年春、私を含め8人の学生がベトナム・カンボジアに渡航した、。
目的は学生同士が討議し理解と交流を深めることにあった。

   南ベトナムでは軍政色の強い体制下で米国の本格介入が進んでいた。
一方、共産主義体制の北ベトナムでは米軍の空爆が続いていた。

   南ベトナムの首都サイゴンの空港では遺体が運ばれているのを目にした。
人々にお目に強い緊張が感じられた。

   兵士の遺族に会い、孤児院を訪ねた。墓地に行ったときのこと。
写真を撮ろうとカメラを取り出すと、案内してくれた人にとがめられた。

   「写真を売って有名になりたいのですか」。虚を突かれた。
世界中からやってくるジャーナリストやカメラマンに対して、ベトナム人の間に強い不信感があると知った。

           ( 日経 私の履歴書 より 大石芳野・写真家 )