記事の見出しは「悩みを語りませんか」。
同じくポリオの後遺症が残る柴田さんが元患者に呼びかける内容だった。

   研究職は競争の世界。弱音を吐かずに、昼夜問わず働く日々に疲れも感じていた。
人生のヒントが欲しい・・・。そんな気持ちが日に日に増していた。

   飛行機で神戸へ向かった。宿泊先の大部屋で、酒を片手に思いを打ち明けた。
「頑張り過ぎはあかんよ」。柔らかい関西弁が、私の心をふっと軽くしてくれた。

   会話は弾み、深夜まで続いた。出会いをきっかけに、研究の第一線から退いた。
現在は全国の障害者団体の意見を集約し、政府などに提言する仕事をしている。

   競争ではなく、協力をして業務を進めることが多く、私の肌に合う。

       (  日経  交遊抄 より 阿部 一彦  日本障害フォーラム代表 )