米国とウクライナが鉱物資源の共同開発を柱とする協定に署名した。
米国がとりわけ重視しているのがレアアース。覇を競う中国にたっぷり埋蔵されている資源だ。

   米国はウクライナへの支援を、この事業の収益で回収する狙いという。
両国が経済で結びつくことが、侵略を続けるロシアへのプレッシャーになるだろうか。

   軍事力にものをいわせる大国の綱引きと経済的な権益で事態が変わる。まさにディール。
戦争の行方をも左右する。これが現代外交のリアリズムなのだろう。

   そんな世界でも、変わらぬ理想が根底に流れていてほしい。世を動かす利他の行為。
「正義のための戦いなんてどこにもない」。やなせさんの言葉をかみしめる。

       (  日経  春秋 より   )