「子どもたちが綴った戦争体験」(村山士郎著)にも、激しい文句が並んでいる。
「村中国中一つになってたたかうのだ」は国民学校高等科1年生。
「米英の邪悪数えて撃ちて止まむ」(初等科6年生)の句もあった。

  その意気は敗色が濃厚になっても変わらない。
が、どこまで本心だったか。添削もあったのだろうか。

  幼い心に憎悪の念を植えつけ、敵意を増殖させていく。
それがどれほど罪深いことか。しかし戦火の絶えない世界のあちこちで、いまもまかり通っているだろう。

  「国家はしばしば、子どもたちを食いものにするし、権力保持のための予備軍としか見ない」。
山中さんの指摘である。大げさだと笑う気にはなれない。

   ( 日経 春秋 より  )