「失敗学」の提唱者として知られる東大名誉教授の畑村洋太郎先生に初めて会ったのは2011年6月。
当時、東京電力福島第1原子力発電所事故の政府の事故調査・検証委員会の事務局長を内示されていた私は。

   委員長就任を打診するため先生の研究室を訪れた。
未曾有鵜の被害を出した原発事故の調査だ。

   難色を示されることも覚悟したが先生は快諾し、長いお付き合いが始まった。
先生は事故調査で現場、現物、現人(関係者)の3つの「現」を重視した。

   政治家や原発職員のヒアリングに同席し、福島に何度も足を運んだ。
専制が実施に意欲を示していた事故の再現実験を断念した時も。

   記者からの追及に向き合って丁寧に答える姿が記憶に残っている。

       (  日経  交遊抄 より 小川 新二 元広島高検検事長 )