私自身、もともと民話への興味が強く、大学ではフォークロア的とも称される。
ロマン主義作家のネルヴェルを読んだ。

  独文学者の兄・昌史も民話の研究をしている。柳田国男には海にまつわる著書もあるが。
たいていは山の話。人の生活基盤が山にあるからだ。

  海にはキツネが化ける場所もない。だからこそ、海の話は貴重だと思える。
先輩の釣り師は「大きな魚が釣れたら3日うまい酒が飲めるが、逃したら3年うまい酒が飲める」といった。

  私もだが、ボウズでもそれを肴に飲めれば十分な人もいる。
25歳で釣りにハマり、最初は近所の江ノ島に通った。

  釣具屋のおじいちゃんの江ノ島が隆起した話などが楽しかった。
海の怪異話も何気ない会話の延長線上にある。


    (  日経  文化  より  「膿の怪異」現代にも民話 )