当初は1日にたった5人の来客で、売上は2000円ほど。
賞味期限当日のお菓子は、来店する子どもたちにタダで配った。

   噂を聞きつけた子どもたちが「お菓子をもらいに」遊びに来た。
「経営面で見ると、ポンコツでしたね」。

   その後も子どもたちとの交流は続く。楽しくはあるが、儲けは薄い。
だが、あることがターニングポイントになって、店が活気づいたのだ。

   それは、ある日来店した子どもがこう秋山さんに文句を言ったことがきっかけ。
「○○スーパーには5種類のうまい棒があるのに、ここには2種類しか置いていない!」

   そう焚きつけられ、悔しくなった秋山さんは「それやったら全種類揃えるわ!」と16種類を仕入れた。
以来、他店にないお菓子のリクエストがあれば、全部取り揃えるようにしたという。

   「ウチには昔も今も、売れ筋のポテトチップスやポッキーは置いてないんです。
人気の低い売れないものを売ってるのがウチの強み。そのほうが子どもたちが喜んでくれるんですよ」

   秋山さんは、子どもやかつて子どもだったすべての大人の要望を聞き、その都度すべて応えてきた。
他にも、子どもが一人で計算できるように小さな駄菓子にも値札をつける。10円単位の価格設定にす

   幼児がひとりで取れる高さの商品棚、スペースに整えた。膨大な品数だが、賞味期限管理も怠らない。
メーカー希望小売価格での販売なので、誰も損しない。

   そうやってほとんど利益を追わず、「子ども目線」で非効率なことばかり追求していたわけだが。
気づけば売上が右肩上がりになっていて一番驚いたのは当の秋山さんだった。

     (  プレジデント・オンラインより  )