それからトップチームの遠征にも同行するようになった。
ベンチには入れなかったが、監督と試合の問題点を英語で語り合うようになった。

   関係が構築できたと思ったら、なんとコールデスが9月に解任された。
監督在任期間193日。開幕から勝てない責任をとらされた形だった。

   コールデスからクラブを去る際、誘われて2人で食事をした。
いろいろ話す中で彼は一切愚痴をこぼさない。

   私が当時の日本サッカーの感覚で「解任は納得できない」と話すと。
彼はドイツ語で「これがフットボール」と話した。

   「監督とはハードワークするか無職になるか。二つに一つの仕事なんだ」。
この言葉は今でも頭にこびりついて離れない。

       ( 日経  私の履歴書 より 岡田武史・元サッカー日本代表監督 )