ハンブルガーSVの練習中に監督が「簡単にボールを失うな」と。
ブルガリア代表のヨルダン・レチコフを叱りつけたことがある。

   レチコフはボールを地面にたたきつけ「うるさい」と言い返した。
監督は笛を吹いて全員を集め、「俺がいいと言うまで全員でダッシュ」。

   中学生の部活かよ、私はあきれた。
最終的に主将がとりなして、罰走は終わるのだが、後々、私が感じ入ったのは監督に。

   「選手に好かれたい」「いい人と思われたい」みたいな下心が毛頭ないことだった。
目的はもただ一つ。勝つこと。そのためには孤独を受け入れる強さ。覚悟を持っていた。

       ( 日経 私の履歴書 より 岡田武史・元サッカー日本代表監督 )