いかつい印象はしかし、表向きの姿だったのかもしれない。
「自分は人より小心者だから、弱いところを見せないようにしているだけ」。

   弟子の金子柱憲選手は、尾崎さんが酒席でもらした一言を紹介している。
夜中まで黙々と練習に励み、ゴルフを探求し続ける勝負師だったという。

   主宰するアカデミーに集う若手の活躍はめざましく、名伯楽としての評価も不動にしていた。
78歳。突然の訃報にうなだれる。

   「諦めずにに夢を追えば、自分は間に合わなくても子や孫が叶えてくれるかもしれない。
だから努力しないと」。

   まなざしの奥行きが胸を打つ言葉を残して、レジェンドが人生のラウンドに幕を下ろした。

 

           ( 日経 春秋 より  )