精神科医になった後も、多くの人に助けられた。
最初は観光ビザで飛び込むようにアメリカに渡り、医師として働くことができる資格を取った。

   ただ、医学的な知識を問う試験には合格しても、英語が下手だった。
今でもアメリカ人の知人からからかわれるほどだが、患者はその私に悩みを相談してくれた。

   会話は言葉だけではないことに気づいた。
表情や姿勢、しぐさ、すべての情報を使って話せば理解し合うことができる。

   それでもうまく自分の考えを伝えられない私に、患者は笑いながら英語を直してくれた。
そのときの相手の表情が満足しているように見えて、私の方が癒される思いをした。

   こうした体験が、その後の私の精神科医としての仕事に生きている。
ちょうど今は試験シーズンだ。緊張している受験生も多いことだろう。

   その結果はどうであれ、あきらめなければ、光は差してくる。
自分の力、そして人の支えを信じて、今できることに集中してほしい。

           ( 日経 こころの健康学 より  )