企画を考える時に意識していることが3つある。社会の理不尽への怒り。
難題に向き合う人たちへの共感と感動。そして、好奇心と発見を読者と共有する気持ちだ。

   政治や社会問題だけでなく、アート、カルチャー、食や自然科学など。
好奇心の赴くまま多岐にわたる分野を扱っている。

 創刊翌年には月刊から月2回の発行に。販売者たちの尽力もあり、現在では月2万~3万部を発行する。
ダライ・ラマ14世やたロックバンド「QUEEN」の特集は大きな話題を呼んだ。

   500号の表紙と巻頭企画は映画「パディトン」。
英国版の翻訳記事だが、「私たちが親切で礼儀正しくあれば、世界はきっとうまくいく」という。

   彼の言葉は、販売者の真摯な接客を重んじるビッグイシューにぴったりだ。
20年前と比べて、マイノリティーへの理解が市民の間に広がっている実感がある。

   一方で、公的な支援制度など社会全体の仕組みとしては、まだ追いついていないのではないか。
ビッグイシューは差政治的な右や左ではなく、路上という「下」からの目線の雑誌だ。

 世界で紛争や災害が多発する時代だからこそ、社会から排除されている人々の声を救い上げていきたい。

       (  日経  文化 より 「ビッグイシュー500号の歩み」  )