寒々としたこころの状態を冬の気候に重ね合わせて。
厳しい環境で生きている自分のみじめさを南極の冬を乗り越える「越冬隊」に例えたという。

   そう説明を受けて、厳しい状況に置かれた自分の状況を悲しくも上手に表現した言葉だと思った。
その一方で、越冬隊と例えたその人の強さも感じた。

   越冬隊に人たちは、南極の厳しい気候の中に立ち尽くしているわけではない。
研究など様々な活動をつづけ、一定期間が過ぎると成果を携えて日本に帰ってくる。

   そうしたことができる力を持っているのだ。
越冬隊の話をしてくれた人はそこまで意識していたわけではないだろうが。

   越冬隊に自分を例えることで、最終的には厳しい冬を乗り越えようという思いを持っていたと思う。
厳しい冬の後には必ず暖かい春が来る。

   今は厳しい状況に置かれていても、長い人生どこかで風は吹く。
実際その人は、その後、自分に合う人と出会って充実した生活を送っていた。

     ( 日経 こころの健康学 より 「暖かい春は必ず来る」 )