永田町では「令和の保守合同」もよく耳にする。
立憲民主党が日米同盟強化などに慎重な「左派」を切る一方。

   自民党が保守的な主張の強い「右派」を切って大連立を組む構想だ。
保守合同を選択肢と考える自民党執行部の一人に可能性を聞いてみた。

   返ってきた答えは「右派を切るといっても、落選しない限りは簡単じゃないんだ」。
この発言にはジレンマがのぞく。参院選に出馬見通しの自民現職のうち4割近くは保守色が濃い旧安倍派だ。

   参院選に勝っても旧安倍派ら非主流派に勢いがあれば、リベラル色がある立憲と組むハードルは高い。
だからといって大敗して過半数を失えば首相の責任論が出てくる。

   連立拡大の機運が高まっても、首相は主導権を握りにくい。非主流派も動きは難しい。
首相を退陣させて新総裁を選んでも、首相指名選挙に勝てるとは限らないからだ。

   94年のように野党が協同して連立政権をつくる可能性がある。
参院選の結果で展開は変わるにしても、少数与党を解消する動きは必ず出る。

   野党と組む際、政権維持狙いの野合とみられないために必要なのは「大義」だろう。
年金制度や税制など少数与党では進めにくい改革が旗印になる。

   かつて保守勢力が衆院で過半数をとるために結成した自民党は長期政権を築き。
結果として日本を経済大国にした。経済成長の前提には政治の安定があることを忘れてはならない。

       (  日経  風見鶏 より  )