七草はよく詠まれるが、百人一首の光孝天皇の歌が染みるる。
「君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪はふりつつ」。

   スーパーで手にした七草に凍える手の人々を想う。「能登の七草」は、わずかだが、出荷を続けている。
「よく見れば なずな花咲く 垣根かな」・・・。ナズナはどこの七草がゆにも入るほどあふれているのに。

   よく見ないと目に入らない。芭蕉の句くは見ようとしないと見えないものが。
この世にはあふれていると教える。SNSに取り囲まれて大切なものを見落としてはいまいか。

   かゆの苦みに身を引き締め、心の眼を巡らせたい。

           ( 日経 春秋 より )