「美味しいのは当たり前で、私が開店したころとはまったく環境が違います。
趣味でやるならいいですが、ラーメン屋で食べていくにはよっぽどの覚悟が必要です。

  営業時間以外の見えない仕事の時間が、とにかく長いんです。
50代、60代で始めたい方は大歓迎ですが、体力勝負の仕事でもあります。
始めるなら1年でも早く始めることをおすすめします」

  飯倉さんが長年、守ってきたことは「自分が食べて美味しいと思うこと」だという。

  「一生懸命やっていますが、そうじゃなきゃダメですよね。
通産省は若いうちは給料は安いですが、続けていれば。

  今ごろは天下りで何千万円ともらえていたかもしれません。
ラーメン屋なんてならなければよかったと思うこともありますよ。

  いつまで続けられるかわかりませんが、やめると決めたときに。
それまでを振り返ってどう思うかでしょうね。
それでも私は、人に使われるのが嫌なので、自分でコツコツやってるほうが向いていると思います」

そう笑うと、飯倉さんは今日も多くの人が並んだ店の暖簾をおろした。

    (  SmartFLASH  より  通産省官僚からラーメン屋 )