ケネディが掲げた人種問題はジョンソンが引き継ぎ、公民権法を成立させる。
しかし、それに飽き足らない黒人の運動に火がつき、ベトナム反戦運動と結びついた。

  連帯を唱えたオバマ氏は無保険者に手を差し伸べ、バイデン氏が実現を支えた。
だが、保険料アップなどへの反発はトランプ氏の支持率を広げる素地になった。

  よかれと始めた改革が状況を悪化させる。
そのる理由を米大統領の演説にしばしば引用される仏思想家トクウィルはこう言う。

  不可避だと耐え忍んできた弊害に、逃れる可能性がみえると我慢ならなくなる。
ある悪弊が除かれると残った悪弊が際立ち、いっそう悲痛になる。

  弊害は小さくなっても、感覚はより鋭くなる。


      (  日経  春秋 より  )