元検事正は、「検察が機能しなくなる」などと口止めしたという。
今、この時点で、起訴され、初公判で罪状を認めた被告人を糾弾するのは簡単だ。

   学校や職場で、不当に傷つけられた級友や同僚に対し。
見て見ぬふりを決め込んだ過去はなかったか。苦い記憶がよみがえる。

   「自分が被害を受けたことを恥だとは思っていません」。
「(検事として)被害者に寄り添い一緒に戦ってあげたい」。女性が絞り出した肉声だ。

   個人の痛みや悲しみが、やがて社会を変える。そんな希望をともしてくれた。
あなたがいてくれて本当にありがとう。ご家族やささえになった人々に、天の加護がありますように。

     ( 日経 春秋 より  )