「中国経済は今、不動産バブルの崩壊に続いて、トランプ関税が追い打ちをかける形で。
大失速の危機に瀕しています。このままでは致命的な経済破綻を招きかねない。
そこで習近平は日本との戦略的互恵関係を再構築することで中国経済を立て直す。
というシナリオに舵を切り直した。そこに飛び出したのが今回の高市発言でした。
これを看過すれば独裁者としての自らの権威が弱体化しかねない。
さりとて戦略的互恵関係の芽を潰してしまえば、経済の立て直しがままならなくなる。習近平は
そうしたジレンマに陥ってしまったのです。目下、薄氷を踏む思いで思案をめぐらせているといいます」

   加えて今回、高市発言に対する抗議デモは鳴りを潜めている。
2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化した際には、中国各地で猛烈な反日デモが見られのに…。
国際政治学者が続ける。

   「中国国内で行われる抗議活動の大半は、当局が動員をかけて仕組んだ官製デモで。
2012年の反日デモもまたしかりです。ところが今は、国内情勢が一変している。
経済が急失速する中、中国人民は職を失って流浪し、若者の就職難は過酷を極めている。
習近平が高市発言を機に反日デモを仕組むのは容易なことですが。
国内状況は反日デモが反政府デモに発展しかねない惨状に見舞われています。
天安門事件のような暴動の拡大は、政権転覆につながりかねない。習近平はそれに恐れおののいているのです」

   戦略的互恵関係の再構築は、日本にも大きな経済的利益をもたらす。
独裁者の足元を値踏みしながら、中国の譲歩をいかに引き出すか。
高市総理には冷静で巧みな交渉術が求められることになる。

 

         ( アサ芸プラス    より  )