受賞の決定は、国家の枠を超えて学ぶ大切さを再認識できた面でも意義深い。
坂口さんの研究生活を支えたのは米国だ。

   ノーベル賞を機に、互いの知を共有する国際協調の尊さを改めて思いを巡らせたい。
米国はトランプ政権の誕生をきっかけに、自国第一主義が台頭した。

   内向き志向を強め、科学者ら人材の往来を自ら妨げる。
疾病対策など各国が抱える難題は、人材交流で培う知があってこそ解決に近づくと理解すべきだろう。

   科学技術が低下する日本では、グローバルな競争で生き残るため、企業だけでなく。
大学も目先の実利を追う研究に力を入れるようになった。

   「すぐに役に立つか」ばかりが問われ、自由な発想を花開かせる機運がしぼみつつある。
国の競争力を高める意識とともに、好奇心から芽生えた基礎研究が革新の礎を築くという。

   もう一つの原則も忘れてはならない。

       ( 日経  社説 より 「免疫の常識を覆した坂口氏になーべる賞」 )