1大会2つの金メダルという日本女子史上初の快挙は
「(距離別種目での)速さの追求を諦めたくない」という長年の夢をもう一度思い起こさせてくれた。
距離別レースはタイムで序列が決まる世界。思いとは裏腹に納得いく成績が残せない。
かたや妹は連戦連勝で世界記録まで樹立。北京五輪シーズン前半は深刻なスランプに陥った。

  「最後の最後ぐらい楽しんでほしい」。昨年12月の海外遠征中。
姉妹それぞれの奮闘をずっと応援してくれる母親の電話越しの願いが胸に響き、何とか応えたいと思った。
記録で妹にはもうかなわない。
「ずっとネックになっていた」現実を直視し、受け止めると迷いはい聞けたという。

「残りのレースを後悔しないよう、最初から全力を出しにいく」。
「自分の滑りだけに集中し、1500ⅿの1周目から攻めた。
課題だった後半の失速への恐怖心を乗り越え、W杯のこの種目で初の表彰台となる2位。
「妹と比較して自分を認めることから逃げてきたけど、最後の最後にやっと自分のレースができた」

(  日経  引退模様より  高木菜那  スピードスケート  )