古代オリンピックでは大会のたび「聖なる休戦(エケイリア)」が実現した。
平和の祭典たるゆえんだ。

  もっとも近代五輪にその発想が具体的に持ち込まれたのは、そう古い話ではない。
期間中と前後の7日の休戦を促す。

  秦な国連決議の初採択は1993年、旧ユーゴ紛争を受けてのことだ。
まだ30年ほどにすぎない。

  理想の無力をいう声も多い。
ロシアのウクライナ侵略は北京冬季五輪後の休戦機関のさなかだった。

  ウクライナにしても防戦中のいま、一方的休戦はのめないだろう。
とはいえ諦めたくはない。どこかに活路はないか。選手の力も借り、探り続けねばと思う。

     (  日経  春秋 より  )