3月のWBCでは「(相変わらず)生意気」と日本ハム時代の同僚、近藤健介に言わせている。
もちろん、愛すべき後輩という意味だが、自分を曲げない大谷の芯の強さを表した言葉、と山下氏はみる。

  18年、メジャー初のキャンプでは投打とも不振で「マイナースタートか」との観測も出た。
そこから見事に調整し、開幕に合わせた大谷に山下氏は衝撃を受けたという。
投手としては乾燥した西海岸の気候に対応し、初登板初勝利。
打者としては右脚を上げない打法に変えて適応していった。

  「自分の考え方が不動だからこそ、変われる」(山下氏)。
さわやかで柔らかな物腰に隠されているが、その実、かたくなで意地っ張りな面もある。
確かにそのくらいでなければ、野茂英雄氏やイチロー氏のように。
この世界で上り詰めることはできないということだろう。

  (  日経 「大谷MVP  未踏の域」 より  )