その絵本を手にしたとき、私は独特の色使いや雰囲気に衝撃を受けた。
東欧を代表するスロバキアの絵本作家、ドゥシャン・ーカーライ氏による挿絵の「不思議の国のアリス」。
私は当時、既に日本で絵本作家をしていたが「この人の下で勉強したい」と強く思った。
1992年秋より、カーライ氏が教える現スロバキアのプラチスラバ美術大学に留学した。

  カーライ先生はポジティブなエネルギーを持った方。
週2回、朝9時には大学に来て、生徒の作品を1人ずつじっくり見てくれた。
作品の良い部分を見つけ出すのが上手く、「こうしたらもっと良くなる」とやる気になる助言をくれた。
  (  日経  交遊抄より  降矢なな 絵本作家 )